2006年3月13日月曜日

プレゼンの時は電気を消さない

パワーポイントでプレゼンをやるときには、画面をくっきり見せるために電気を消すことが多い。


しかし、これは愚の骨頂だ。プレゼンにおいては電気を消してはいけない。

暗くすると、まず3分の1くらいの人が寝てしまう。

もっとまずいのは、一人一人がスクリーンと自分だけの世界に没入してしまって、「場」が共有されなくなってしまう点だ。


プレゼンにもいろいろあるだろうが、普通プレゼンの目的は発表者が一方的に主張を述べることではなく、最終的に一定の合意に達することにある。

とすれば、そこには意見の交換がなくてはならないし、そのための「場」が形成されなくてはならない。


だから、プレゼンが終わって電気が点いた時、全員が映画を見終わって映画館から出てきたアベックのような顔をしていてもらっては困るのだ。

終わったら、すぐに会話がはじまらなくてはならない。そのためには、プレゼンの最中から全員が空気を共有している必要がある。他の出席者がどう感じているか、顔色を見たり、アイコンタクトを交わしたりしながら暗黙の情報を収集しているのが望ましい。


プレゼンをする側にとってはもっと重要だ。プレゼンタ―は、聞いている人々の顔色を見ながら、自在にしゃべりを変えなければならない。場合によっては、その場で質問を受け付けなければならないこともある。

電気を消していては、聴衆の顔が見えない。反応がつかめない。タイムリーに質問を受けることもできない。


プレゼンは作品ではない。完璧なパワーポイントを作って、完璧なプレゼンをすることが目的ではない。

つい勘違いしてしまう点だが、ここが大事なポイントだ。


議論につながるプレゼンこそ、有意義なプレゼンだ。例え内容は否定されても、それによって問題についての認識が出席者に共有され、理解が進み、さらにはよりよい考えが提出されたとするならば、それは成功したプレゼンだったと言えるだろう。


だから、決して電気は消してはいけない。何とかして消さずにすむ方法を考えるべきだ。

幸いなことに、最近のプロジェクターは電気を点けたままでも、十分くっきりと映像を投射できる。そうでないにしても、そもそもスクリーン付近の電気さえ消せば十分な場合も多いのだ。

どうしてもダメなら、パワーポイントでのプレゼンをあきらめるというのも、選択肢のひとつだ。他にもプレゼンの方法はたくさんあるのだから。


それくらい電気を点けるか消すかというのは、大事なことなのだ。